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「似合う」を知るための方法:似合うための分析図

「似合う」きものや帯を見つけるには、まず、「似合う」とは何かを知る必要があります。
「似合う」とは、「自分と対象物の関係が素敵に見える」ということで、ここでの対象物は、きものです。

○きものの色と肌の色の関係

きものは、「お顔のそばに」きものの衿が来ることから、きものの色合いや柄、光沢感とお肌の調和が、「似合うかどうか」に大きく影響を与えます。

「似合う」を知るための方法01

色に関しては、
お肌の色がピンクが強い方は、グレー、青、紫、銀などの色が「似合います」
お肌の色がイエローが強い方は、クリーム、緑、茶、金などの色が「似合います」

ここで「似合う」の意味は、「調和して、すっと目に入り易い」ということです。

お肌ときものの色が同系色なので、見る方の目の錯覚を生んで見やすい調和を生むことから、「お肌が明るく見える」「あごのラインがすっきりして」「お顔が前に出て見える」のです。

この反対に、「似合わない色」のきものを着ると、「お顔が暗くなり」「あごのラインがぼけて」「お顔が後に引けて見える」という大きな違いが生まれます。

「似合う」を知るための方法02

「似合う」を知るための方法03

「似合う」を知るための方法04

しかし、ここでお肌ときものの地色が似合ったとしても、柄が「似合う」かどうかは別問題です。

「似合う」を知るための方法06

○内面の個性の影響を受ける「柄」の好み

きものや帯の柄は、人の外見的な色の調和よりも、内面の好き嫌いとか「その人らしい」という個性に影響を受けることが多いです。
優しい穏やかな方に強い柄が合わないとか、繊細な方にシンプルな柄は似合わないとかいうことです。
自分らしい個性に合わなければ、「自分らしくない」「落ち着かない」と感じ、周囲の方も「何だか違う」と思います。
しかし、この「内面の気持ちや意志」は、外からは見えず、また、自分の言葉でこんなものなら好きだけどこれは嫌ですということを言葉に出来ない方が多いです。

○「似合う」を判断する人

「素敵に見える」かどうかは、見る方の主観や好みによっても良いか悪いかの判断が異なります。

例えば、私は呉服の展示会で、大好きな帯に出会ったことがあり、すっかり気に入ってしまいました。
高額ですが無理をしても買いたいと思いましたが、その前にその帯を持って、その会場にいた6名の方に、「この帯は、私に似合うかしら?」と聞いて回りました。

すると、「似合うよ」という方、「分らない」という方、「あんまり似合わない」という方がいました。
「へえ・・こんなにみんな、感想が違うのね」と驚きました。
私は、心残りでしたが、その帯の購入を諦めました。

これは、ご覧になる方の主観である「この人には、こんなものが合う」ということがそれぞれ異なるからだと思います。
その方に素敵と言っていただきたいのなら、その方の個性にあう着姿が必要ということになります。

また、自分が好きなものが、似合うものでないことも多いのです。

「似合う」を知るための方法07

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○「似合う」ものを見つける難しさ

さあ、大変です。
自分で自分に似合うものを見つけることが難しくて周囲の方にも難しいのですから、「似合う」ものを見つけることはとても難しいと言えるでしょう。

そんなことから、化粧品や洋服販売も、または家具や車の販売も、製品の機能性PRや流行を教えてくれますが、「あなたに合いますよ!」という販売はほとんどしていません。

口紅や服を選ぶ時、「私に合いますか?」と販売員さんに聞いても「私」を無視され、「これが今年の流行色です」とか「女優さんも使っています」「こんな機能が付いています」と説得されます。
流行に興味がない人、女優さんに影響を受けない人、機能より他のものを重視している人がいて、そんな部分こそ「人の個性」なのですが。
「人の個性」という内面の好き嫌いを計り知ることが難しいことが「似合う」が分らない原因といえます。

実は、その解決方法がありました。

○「似合う」を知るための分析図作成

その解決方法は、必要な要素を全て分析して洗い出し、それぞれの要素が必要とする着姿を作れば良いのです。

分析対象となるのは「きもの」ですが、一番欠かせないのが「自分」の分析です。
そして次に、「自分」と「きもの」とを取り巻く「時間や場所や季節、場所など」の分析も必要です。
それを図にしたものがこちらです。

「似合う」を知るための方法【分析図】

これは、きものの場合ですが、例えば、「くつの場合」「家具の場合」「車の場合」「洋服の場合」などで同じ作業を行うことで、人の個性にあって間違いない「似合う」ものを見つけたり提供することができます。

○分析図による要素分析

さて、分析図に従って下記のように具体的に分析することができます。

「きもの」は、下記の要素が考えられます。

きものの種類:訪問着、色無地、紬など
きものの格 :礼装、順礼装、おしゃれ着など
きものの豪華さ:結婚式の豪華さ、レストランウエディングの豪華さなど
きものの素材:絹、麻、木綿、ポリなど
きものの風合い:光沢の有無、真綿の風合いなど
きものの色:赤、青、黄、紫など
きものの柄:鳳凰、松、市松、ドットなど
きものの季節の約束:6月と9月は単衣、7月8月は夏物など

「似合う」を知るための方法10

「似合う」を知るための方法11

「似合う」を知るための方法12
「自分」は、下記のように洗い出すことが必要になります。

自分の肌の色:肌の色がイエロー系かピンク系かは重要です。
自分の髪の色:髪が黒いと強い色合いが似合います。
自分の目の色:眼球が黒いと強いものが似合います。
自分の容姿:身長、体重、外見などで考慮すべき点も考えられます。
自分の年齢:年齢によって考慮すべきことがあります。
自分の立場:主催者、先生、奥様など立場によって求められる着姿があります。
★自分の内面の意思:こう見せたい、こんなものが良いという気持ち
★自分の内面の好き嫌い:これが好き嫌いという気持ち

「それを取り巻く環境」とは、下記のようなものです。

時代:時代によって変化するものがあります。色や柄など
季節:季節が変われば日差しや陰影が着姿に影響を与えます。
月日:5月30日と6月2日では、袷と単衣の違いがあります。
時間:お昼か夜かでお召しになる格や色が変わります。
場所:帝国ホテル、青山のレストランなどでフォーマル感などが異なります。
行事・式典:お正月、七五三、結婚式、入学式・卒業式など

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これだけ書くと、うんざりする方がいらっしゃるかもしれませんが、これだけの分析をしないと本当に似合うものは判断できません。

これらの結果、9月(季節)のお昼(時間)、に会社の部下のホテル(会場)での結婚式(式典)には、クリーム色の単衣(季節の約束)の訪問着に袋帯(豪華さ・格)ででようかしら?
または、色無地(種類・豪華さ・格)で良いかしら?
主賓のスピーチ(立場)があるので、やはり訪問着にしましょう!

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という判断ができます。

○見ることができない「人の内面」

しかし、ここまで来て、大きな問題が残っていることに気づいていただけます。
それは、★の人の内面が見えないということです。

自分の内面の意思の、こう見せたい、こんなものが良いという気持ちやこれが好き嫌いという気持ちです。

直接お会いして本人にお聞きすれば分るだろうと思っても「もっとおしゃれに」とか「もう少し可愛く」という答えになることが多くて正確な答えがでません。
お聞きしたいのは、「どんな色でどんな形」が必要かということですがそこまで自分で言葉にすることは本当に難しいのです。

○見つけることができた「人の内面」

ところが、私は、多くの方にお会いして「似合うきもの提案」を繰り返して個性と向き合い、好きな色や柄、嫌いな色や柄、こう見せたい、こう見られたくないという部分を見つめた結果、個性のかたまりを見つけることができました。

特徴的な3つの個性の他に分りずらい個性がありましたが、最終的に6つの個性を見出すことができました。
その6つの個性は、あれが好き、これが嫌い、あんな風に見られたいという意志や気持ちの他に色や柄や行動と結びついています。
目立ちたい、目立ちたくない、人と同じでは嫌だ、格好良くありたい、格好よさより大事なことがある、沢山の柄が必要、柄は少ない方が良い、この色が好き、こんな柄が好きなどです。

私が試行錯誤の結果、見つけた6つの個性と「似合う」の関係をこれからご紹介して参ります。
そして、この手法を使うことで個性の部分を埋めることができるので、絶対にに間違いない「似合う」ものを選ぶことができるのです。

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個性が分るので

なぜこの柄がお好みなのか?
なぜこの色が好きではないのか?
ピンクが好きなはずなのに、なぜこのピンクの帯がお好きではないのか?

ということに根拠をもって回答ができます。

参考サイト

似合う着物と似合わない着物の違い
https://kimono-bito.net/?p=485

伊藤康子のきものライフコンサルティング
http://kimono-bito.com/z-70213cordinate/index.htm

えいこ様のきものライフ コンサルティング
http://www.kimono-bito.com/z-110517keiko-sama/index.htm

これで完璧!あなたに似合う服がわかる骨格診断
http://classy-online.jp/fashion/9242/

自分に似合う髪型がわからない女性向け!似合う髪型診断&似合う髪型10選
https://belcy.jp/43599

この記事を書いた人

  • writer-img_ito
  • きものライフコンサルタント 伊藤康子

    福岡県生まれ 23年間企業での秘書業務の後、2000年に高級呉服販売サイト「きもの人」を立ち上げる。
    20年近く多くの方にきもの提案をした中から、人の個性と色や柄の関係を見つけて「色個性」を生み出す。
    お会いしなくても簡単に個性が判断できる色個性の診断方法を使って、人の適性や相性改善を行う組織の問題解決も実施中。

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