単衣の着物の基礎知識
着物の決まりごとで、「単衣(ひとえ)」の季節が有ります。
6月と9月を意味します。
この2ヶ月の間には、裏を付けずに、さわやかに見える着物や帯を着る決まりが
あり、帯締め・帯揚げ、コート、バッグなどもそれ以前と以後で変化します。
その決まり事を知っていて応用するのは許されますが、知らずに着ていると
可笑しな着方となります。周囲の方から指摘を受けかねないことにもなります。
着物を着る方の最適知識として身につけて下さい。
○単衣とはいつなの?
単衣の時期は、6月1日から30日と9月1日から30日です。
夏の7月8月を挟む各1ヶ月です。
5月31日まで袷を着ていても、6月1日になれば単衣に変わります。
その後、7月8月は盛夏として夏の着物を着て
9月1日から9月30日までは、また単衣の着物や帯になります。
ただし、温暖化などによって暖かくなっていますので
応用し変化させて着こなすことが出来ます。
○単衣には何が変わるの?
単衣の季節には、身につけるものの多くが変わります。
きもの:
袷(あわせ)と呼ばれる、裏が付いたきものから、単衣(ひとえ)と呼ばれる
裏が付かないものに変わります。
表の生地は、袷の季節に着る多くのものが使えますが、
原則として、単衣らしく見える涼やかな素材になります。
紬は、塩沢紬のようにシボがあり、からりとした風合いの生地が好まれます。
夏結城も、単衣・夏に大活躍します。
本塩沢紬 単衣にも袷にも出来ますが、さわやかな生地の風合いな
ので、単衣にとても適しています。
細かい柄は、染めたのではなく糸を藤色に染めて織って作り出した柄です。
本場夏結城紬 夏結城は、絹糸の他に麻糸を織り込んでいるので
さわやかさが有ります。夏結城と呼ばれますが、実際には夏よりも単衣とし
て活躍します。絹と麻という動物性と植物性という異なる素材を合わせて織
るので技術的に難しくて、一家の家しか織ることができる方がいません。
亀甲柄で細かい柄を手織りしています。
裏地をつけなければ単衣として着ることが出来ますし
6月も9月も暑い日ばかりではなく、寒い日もありますから
様々な表地の単衣を持たれる方が多いです。
フォーマルは、少し薄くてしゃり感があるような生地に単衣の季節のお花などを
染めたものが多いです。
ただ、単衣専用に作られているものはとても少ないです。
また、ジューンブライトと呼ばれるように6月の結婚式も有りますから
いつあるか分からないフォーマル対策としては、単衣の付け下げか訪問着をお持
ちになることが必要です。
袷にも単衣にも適した付け下げ 桔梗や椿など春と秋の花柄です。
単衣に適したさわやか感のある生地に6月の花 あじさいで単衣の付け下げです。
お花の季節には注意しましょう!
6月に咲くあじさい、カンパニュラ、菖蒲などの花柄の着物を9月に着ることは好
ましく有りません。また、秋の花柄を春に着るのも同様です。
着物では、実際の季節より半月から1ヶ月ほど先取りして着ることが多いです。
このような着物のきまりごとは、日本人ならではのもので、季節や生活の変化の機微に対応したものです。
合理的な社会生活に対応する洋服に対して、着物を着る毎日は、日差しや気候の変化を大きく受けます。
しゃれものは、日差しにあわせた色合いを選んで着ますから、日が長くなったり
短くなったりする区切りである春分と秋分という二十四節気が関係してきます。
また、フォーマルも、着物や帯の柄を知って使いこなす知恵が必要となります。
単衣という変化に対応することは、着物を入れ替えたり、半衿の付け替えや長襦
袢の用意をしたりと手間はかかるのですが、流れ行く日常に棹差して、季節の変
化を意識させてくれる時間でも有ります。
長襦袢:
単衣の長襦袢は、裏が付きません。
袷の長襦袢は、お袖や腰周りに裏地が付いていますが、単衣になると
そのような裏が付かないので、軽やかで薄くなります。
段々暖かくなってくるので、汗の吸収をしてくれること、発汗性があること
なども重要で、天然繊維である絹や綿が優れています。
ただ、天然繊維は洗うと収縮したり毛羽立つことが問題です。
半衿:
フォーマルもしゃれものも塩瀬で大丈夫ですが、しゃれものは
さわやかな風合いの楊柳(ようりゅう)等の生地で、より単衣らしさを出すこと
が出来ます。ただ、最近は、そのような生地も入手が難しくなりました。
帯締め:
帯締めは、本来季節が無いと言われますが、単衣用に作られた帯締めも有ります。
さわやかな糸の風合いで組まれています。
帯揚げ 絽ちりめん 単衣・夏用 透け感があるめだか柄
帯締め 単衣と夏用 さわやかな風合い 金が入ったセミフォーマル
帯揚げ 絽ちりめん 単衣・夏用 透け感がある紫陽花柄手刺繍
帯締め 単衣と夏用 さわやかな風合い 金が入ったセミフォーマル
帯揚げ:
単衣の帯揚げは、光沢感が減り、さわやかな風合いがあります。
楊柳風の生地で、柄も、アジサイ、なでしこなどの梅雨柄や秋柄になってきます。
帯揚げ 白い生地の真ん中だけ青で半分は袷に、残り半分は絽ちりめ
ん地ですから、こちらは単衣・夏に向いています。
コート:
4月以降明るい日差しの日が増えますから、コートのお色も明るく薄くなってい
ます。
透けたり明るい色のコート、裏地が付かない薄い生地のコートが大活躍します。
また、コートの目的が、防寒から、ちりよけ、日よけに変わります。
参考サイト
伊藤康子のきものライフコンサルティング
http://kimono-bito.com/z-70213cordinate/index.htm
絹ごこち 自宅で洗える絹と綿天然繊維100%肌に優しい下着
http://kimono-bito.com/list.php?d_id=20150502105236&category_id=0657
単衣はいつから着ても良いの?
http://allabout.co.jp/gm/gc/413443/
単衣・ひとえ
http://www.kimono-akahane.com/knowledge.html
9月は衣替えの季節です。
http://www.kabuki-bito.jp/special/naganuma/56/no1.html
春夏用の単衣の小紋を作りたい。反物選びで気
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11121013821
単衣の素材の選び方(総論)
http://kbr.seesaa.net/article/119405672.html
単のきものにあわせる帯について
http://oshiete.goo.ne.jp/qa/2089426.html
単衣の着物
http://www.ko-harubiyori.com/6_tokusyuu/7hitoe.shtml
[…] 単衣の着物の基礎知識 http://kimono-bito-net.check-xserver.jp/?p=727 […]