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似合う着物と似合わない着物の違い

着物は、洋服よりも似合う、似合わないが大きな問題になります。
体を覆う面積が広いので、似合うかどうかが与えるインパクトが大きいのです。

では、似合うとか、似合わないとかは、どうやって判断するのでしょうか?

○似合う着物と似合わない着物の違い

似合う着物とは?

似合う着物は、顔が前に出るように見えます。
似合う着物は、顔が明るく白く見えます。
似合う着物は、あごのラインがすっきり見えます。
反対に、似合わない着物とは?

似合わない着物は、顔が後ろに引っ込んで見えます。
似合わない着物は、顔が暗く見えます。
似合わない着物は、あごのラインがぼけて、すっきり見えません。

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では、なぜそんな違いが出てくるのでしょうか?

○色に反応する人の要素

似合うかどうかという観点で、人の外見が色として反応するのは、
肌の色、髪の色、瞳の色、白目の色であると思われます。
肌の色は、イエロー系、ピンク系、オークル系に分けられます。

イエロー系のお肌の方は、オレンジ、茶、緑、ゴールドがお似合いです。

ピンク系のお肌の方は、藤色、紫、青、シルバーがお似合いです。

オークル系のお肌の方は、はっきりした青や緑、赤、薄いピンク、藤色がお似合いです。

イエローとピンクが混じったお肌の方も多いです。

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(イエロー系のお肌の方)         (ピンク系のお肌の方)

この他に色が白く肌の透明感が高い方は、透明感がある薄い色が合います。
濁った色は合いません。
また、肌の色は不変ではなく、日本人は年齢と共に黄色味が増してきます。

髪の色は、日本人は、黒、こげ茶、薄い茶色に分けられます。
黒いほど、強くはっきりした色が合い、薄ければ濃い色が合わず、薄い色が合います。
髪の色は染められますが、瞳の色はなかなか変えられません。

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髪と瞳の色の濃さから、この黒を着こなします。

白目が少しグレーの方に、グレーの着物が良くお似合いになり
眼球が小さくて丸い形をした方に、小さなドット模様がとても良くお似合いにな
るということが有ります。
白目に水色が入っている方は、水色の着物がお似合いになります。

○色とは何か?

では、色とは何かも確認しておきましょう。
色は3つの性質を持ちます。

色相:赤、青、緑などの色味のこと
明度:色の明るさ
彩度:色の鮮やかさ

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これら色相や明度、彩度の変化や組み合わせによって
同じ大きさなのに大きさが違って見えたり、遠近感が出たり、浮き上がって見え
たりします。暖かく見えたり寒く見えたり、美味しそうに見えたり美味しくなさ
そうに見えたりもするので、色が与える影響はとても大きいのです。

類似している色が優しく調和して見え、対比している色がきっぱりと
強く見えます。
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BよりAが広く見えます。
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着物が似合うとは、肌や髪や目の色に調和して溶け合うような美しさや優しさや
女らしさや凛とした格好良さが出てくることです。
それは、色の影響を受ける目の錯覚とも言えるものですが、着物を肩に当てた途
端に女らしく見えたりするのですから、色選びはとても重要なことと言えます。

着物のコーディネートで色の名称として私が良く使うのは、下記の3種類の色です。

清色:白が混じった透明感が高い色
濁色:灰色が混じった濁った色
パンチが効いた色:純色:強くはっきりした明るい色

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これらの色は、お互いに相性が悪く、一緒に使い難い色になります。
帯揚げを清色、帯締めを濁色などにすると、どうやっても何か変だというコーディ
ネートになります。

パンチが効いた色:純色は、その色同士で使う方が良いのですが、
清色にパンチが効いた色、濁色にパンチが効いた色を高度なコーディネート技術
として使うことも有ります。

濁色のきものや帯に、濁色の帯締め・帯揚げの例
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清色の帯締めと清色の帯揚げの例
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○反応しあう人と着物 

しかし、着物では、色だけではなく、多くの柄と生地の風合いの違いも強い表現力を持ちます。
それらが複合的に混ざり合って、似合う似合わないという外見的な要素を作り出しています。

色は似合うのだけれど何かしっくりしないという場合、色数が足りないとか、
個性に合わない柄だとか、風合いが肌に合わないということが有ります。

着物は、人の体を覆う表面積が広く、色、柄、素材が洋服と比べようも無いほど多いので、
似合う時はとても素敵なのですが、似合わないものを選ぶと、とても変だわとい
うことになってしまいます。

色が合わない場合の修正テクニックを2つお教えしましょう。

○お顔映りが良くない場合の修正テクニック2つ

1)似合う色を伊達衿や半衿にプラスする
2)似合わない色を帯や小物で遠くに使う

この2つでかなり似合わないものが似合うようになります。

1)似合う色を伊達衿や半衿にプラスする

お肌の色と着物の色の調和が悪いので、その間に調和する色の半衿や伊達衿を入れるのです。

お顔が寂しく見えてしまうA様の場合、華やかに見えるオレンジの
伊達衿を入れることで明るい華やかさが出ました。
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お肌がピンク系のM様の場合、イエロー系の着物に、薄いローズの伊達衿を
加えることでお顔映りが良くなります。
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お顔映りはほどほどなのですが、少し昔風の雰囲気がする小紋に
しゃっきりした組紐の薄いグレーの半衿を入れることでモダンな凛とした
雰囲気を出しています。
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その伊達衿や半衿の色は、お肌の色と着物の色の調整なので、実際に当ててみて
選ぶことがベストです。

2)似合わない色を帯や小物で遠くに使う

赤い帯締めは、お顔の周りでは合いませんが、帯締めに使うことで
全身のアクセントになっています。いつも同じような色が多くなる方にお薦め!
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ピンク系のお肌の方は、イエロー系を帯などで使うと効果的です。
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○上級テクニック

更に、上級テクニックとして3つお伝えしましょう。

1)強い風合いの生地ですっきり着る。
2)色を重ねた技法の着物ですっきり着る。
3)調和しない色同士を並べてコントラストの強さですっきり着る。

この3つを使いこなせたら、かなりの問題が解決することでしょう。

1)強い風合いの生地ですっきり着る。

このタイプの方は、多色で賑やかさが必要ですが、そうすればするほと賑やか過ぎて、
すっきり感や格好良さから離れがちになります。

それを救ってくれる1つの手段が、主張が強い風合いの生地を使うことです。
たとえば、「綸子(りんず)」や「ちりめん」の生地です。

綸子は、紋織の染生地の一つで、経糸が長く浮いて光沢が美しく光線の具合で紋様が見え隠れします。

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また、ちりめんは、横糸に強い撚りを掛けた絹糸で織った生地で、生地全面に細かい凸凹状の「シボ」がでた織物です。
シボがあることにより、シワがよりにくく、しなやかな風合いに優れ、凸凹の乱反射によって染め上がりの色合いが
豊かで深みのある色になります。

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このような綸子やちりめんのきものは、強い光沢感や凹凸感が色数1ポイントの
変わりをしてくれて着姿に強さを加えてくれます

ですから、それだけ色数が少なくても強さが出るので
お似合いになりながらすっきり着ることが出来るのです。

蛇足ですが、昭和50年頃までは、綸子やシボが強いちりめんのきものが沢山見られましたが
近年は少なくなりました。
それは、青い空や緑の樹木を背景に写真を撮ることが減り、コンクリートのグレーや白い室内で撮影をする
ことが増えたので、みんなの着姿全体の色が薄くなり、生地もすっきりした平の生地が
好まれるようになったためだと思われます。

2)色を重ねた技法の着物ですっきり着る。

染めものの場合、1回の引き染めよりも、何回か染めることで色の強さが生まれます。
遠めで見てもしっかりした主張の有る色になりますから
それだけ少ない色数ですっきりとした着姿になります。

例えば、このような着物です。

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糸目友禅作家滝沢 晃先生の訪問着も、薄い地色も最低3回以上染めているため
に着姿に力が有ります。

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また、同様に、ろうけつの訪問着も色を重ねていますから、それだけ色数を減らせます。

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つまり、このタイプの方にとっては、多くの色柄が必要になって賑やかさが出てしまうので
どうしたらすっきり見せて似合わせることが出来るのかが課題になっているのです。

3)調和しない色同士を並べてコントラストの強さですっきり着る。

コーディネートの工夫として、イエロー系にピンク系を合わせるなど調和しない色同士を並べると
色同士が溶け合わないのでコントラストの強さが出ます。

色そのものの強さは変わらないのに、隣り合う色と混ざり合わないために
着姿にコントラストの強さが出て若さにも通じてすっきり着ることが出来ます。

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○結論

その方らしくすれば良いというだけではなく、素敵に見えるようにするためには

素敵=格好良い=少し色数を少なくする

という法則が有ります。
ですから、生地や染めの強さを借りるとかコーディネートの工夫で色数を抑えて
着姿の素敵さ作りをいたしましょう!


間違いなく素敵なきもの姿への調整要素円グラフ

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http://www.kimono-bito.com/y-150209klcon/index.php


参考サイト

伊藤康子のきものライフコンサルティング
http://kimono-bito.com/z-70213cordinate/index.htm

美和子さん袷のきものコンサルティング
http://www.kimono-bito.com/z-90928ab/miwako01.htm

ゆかり様の小物使い・・
http://kimono-bito.com/z-70327monitor-nyukari-sama/index.htm

麻有子様の訪問着のコーディネート編
http://kimono-bito.com/z-70507mayuko-samacd/index.htm

誰かに見てもらってスッキリしたいな!(良子様)
http://www.kimono-bito.com/z-91024yoshiko-samacd/index.php

えいこ様のきものライフ コンサルティング
http://www.kimono-bito.com/z-110517keiko-sama/index.htm

伊藤康子のきもののコーディネート講座
http://www.kimono-bito.com/z-71026kimono-lesson/index.htm

この記事を書いた人

ban-kiji_kaithit_itoyasuko

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